Kero's Room
アイアンマンハワイって?

Story1

 アイアンマンハワイとは、正式には Ironman Triathlon World Championship という名前があらわす通り、アイアンマンのチャンピオンシップ大会です。
 「トライアスロンって何」でも書いたように、トライアスロン発祥の大会であり、現在では毎年10月ハワイ州のハワイ島、カイルア・コナを中心に開催されているトライアスロン大会です。

そして現在大会は World Triathlon Corporation という会社が主催しています。

 この大会はチャンピオンシップであるため、多額の賞金がかけられています。そしてプロ(エリート)カテゴリとして賞金を目指して戦う面と、私のような一般の人間がアマチュア(エイジグループと呼ばれます)として戦う両面があります。

 その醍醐味は、プロ・アマ分け隔てなく同じコースで一斉にスタートできることにもあると思います。参加者は約1500名。

 プロには男女の区別しかありませんが、エイジグループは男女とも5歳刻みでわけられます。例えば男子でいうと、24才25-29、30-34、35-39才といった具合です。


 その名の通りハワイ大会はチャンピオンシップであり、各地で開催されるアイアンマン関連大会でカテゴリ(=年代)別上位に入ったヒトに参加資格が与えられます。

 最初のうちは希望すれば誰でも出られたようですが、希望者が多くなるにつれ、各地予選通過者のレースとうかたちになってきてしまいました。

 現在全世界で26だか27くらいのアイアンマン大会が開催されています。
 それらの大会ひとつずつに、ハワイ大会の参加権(スロットと呼ばれます35-39、40-44才あたりの参加者がもっとも多くなります。
 大会全体で80スロットあるとすると、30-34には7枠、35-39には11枠、40-44には6枠など、参加比率から計算されてスロットが配分されます。 すると40-44歳の参加者でハワイの出場権利を得たいのであれば、自分のエイジカテゴリの6位以内に入ればよいということがわかります。

 実際には上位選手のなかからもキャンセル者は当然出るわけなので、もっと下の順位にスロットがまわってくることが結構あります。


Story2

 ハワイ島ってリゾートで有名ですが、じつに壮大で不思議な島です。

 まず大会の開催される西側コハラコーストと呼ばれる一体は、火山溶岩で埋め尽くされているため、一面の溶岩台地です。ハイウェイの両側も溶岩だらけで、樹木はほとんどありません。
 そして雨が降らないことでも有名です。
 たいていコナウィンドと呼ばれる強い風が吹きつけます。

 不毛なハイウェイを車で走ってみると、ぽつりポツリとリゾートが点在していることがわかります。右の写真のように、エントランスから突然ヤシの木が植えられ、海岸べりにあるホテルまで続きます。これらはみんな人工的に作っているんですね、スゴイです。

 そしてハワイ島にはマウナ・ケアとマウナ・ロアという3000m級の活火山が2つあります。マウナ・ケアは日本の天文台があるので有名ですね。その山を挟んで反対側のヒロあたりは雨がおおく、コハラコースト側とはまったく逆の顔をみせます。

 そして島の北側は熱帯雨林のようになっている場所もあります。一方南側にある有名なキラウエア火山は、今でも活動していることで有名です。あちこちで煙があがっています。その規模は日本の活火山よりはるかに大きいのと、温泉卵を売っていないのが大きな違いです。


 午後9時頃出発するJALのコナ直行便で成田を発ちます。
 7時間だかビールを飲みながらウトウトしていると、カイルア・コナの空港に着きます。ここは南国の小さな空港なので、立派なターミナルビルなんぞはありません。高いものはヤシの木くらいです。
 タラップを降りたら、滑走路脇の地面をペタペタとイミグレーションにむかって歩きます。むかしは狭い木造平屋の建物だけでしたが、最近はちょっと広い仮設テントのような建物ができました。

 もちろん免税店などもありません。ショッピングをするところではないのです。ショッピングをしたいヒトは他の島に行きましょう。

 入国をすませると、ベンチがあるだけの屋外ロビー。私のおきまりはレンタカーです。受付にいき予約票を出して受付をすませると、巡回しているバスに乗って空港奧にあるレンタカーオフィスに連れて行ってくれます。
 そこで車を受け取り、出発です。

 空港の取り付け道路を出てクイーン・カアフマヌハイウェイ(通称クイーンK)に入るとすぐ、溶岩台地が待っています。右の写真は1996年空港近くで自分の自転車を撮ったものですが、風景はかわっていません。溶岩と低木、そして青い空がずーーーと続きます。

 カイルアの街にむかって車を走らせます。遠くに工場や、山の中腹に住宅などがチラチラと見えてきます。そして街に近づくにつて、じょじょに緑が多くなってゆくのです。

 はっきり言ってカイルアの街中は暑いです。土産物屋、レストラン、コンドミニアムやホテルは、このカイルアの街のアリイドライブに沿って並んでいます。
 しかし住民たちは暑さを避けて皆山の中腹の方に居をかまえています。かなり温度差もあり、上の方は結構すずしく、気持ちよい風が吹き付けます。


Story3

 ハワイのアイアンマンは1500人余が一斉にスタートします。
 スタート地点はカイルアピア横。岸から40mくらいのところでしょうか。海に浮かんだ状態でスタートを待ちます。
 スタートは太陽が山の上から顔を出した7時頃になります。7時頃というのは、フライング防止のためです。選手全員がスタートラインの内側に入ったことが確認されないとスタートしません。
7時頃というのは、フライング防止のためです。選手全員がスタートラインの内側に入ったことが確認されないとスタートしません。ont>

 一般の選手にはあまり関係ないかもしれませんが、賞金のかかったプロエントリの選手は一般選手より5m前方にもうけられたスタートラインにつくことができます(プロかどうかは支給されるスイムキャップの色でわかるのです)

 キャノン砲が「ドン」と鳴ると、まるでイモ洗い状態のスイムが始まります。何せ1500人の一斉スタートです。
 そしてこの瞬間がコースクローズの午前0時まで17時間の長い一日の始まりです。

 フィニッシュラインは、このピアのすぐ入り口、アリイドライブ上の設置されます。
 カイルアピアをスタートし、コハラコーストを駆けめぐり、そしてまたカイルアピアに戻ってくるのです。

 この大会は地元コミュニティと数多くのボランティアが支えています。ボランティアの総数は6000名とも7000名ともいわれています。世界各国からあつまる報道関係者や家族応援者とあわせてものすごい数の人がトップから最後の選手まで応援してくれます。

 エイドステーションと呼ばれる給水(食べ物もあり)所には小学生くらいの子供からおじいちゃん・おばあちゃんまで、沢山のボランティアが、それを楽しみながらやっているというところがスゴイのです。


Story4

 アイアンマンハワイはワールドチャンピオンシップです。

 したがってレベルが高いのです。水泳は水温が高いので(平均26度)ウエットスーツの使用は禁止されていますので、通常のスイムウエアで泳がなければなりません。
 水深は平均6m、深いところで27mくらいあります。
 コースはほぼ岸に沿って1.3マイル泳ぎ、沖に停泊している船をまわって戻ってくるというシンプルな構成です。最近は1.3マイル(約1.9km)を2周回などという大会レイアウトが多いのですが、行って帰ってくるだけというシンプルさがいいんです。
 でも皆速いです。ウエット無し、1時間10分もかかっちゃうと、順位的には1000番!くらいです。後ろはスイム苦手な人、高齢者くらいしかいません (--)...

 そして自転車。
 まず最初に気づくのは、背の高い外人が多いので、サドルがすっごく高い位置にあること。
 走っている自分の顔の前くらいにケツがある...... というイメージです。
 レベルも高いです。日本の大会のつもりでいい気になって走っていると、突然女性!にブチ抜かれます。ふくらはぎにかかれた年齢カテゴリを見て「あー40歳台の女性に抜かれてしもた〜」などと気づいたりすることもあります ^^;)

 しかしハワイのバイクパートは風に翻弄されまくります。強い風が吹くこともあれば、ちょっとしか吹かないことも。でもたいてい風が吹きます。それもちょっとやそっとでは我慢しきれないような風が頻繁に吹きます。しょっちゅう風速15m/sとか20m/sとか台風並の風が吹きます。

 向かい風だと、こげどもこげども前に進みません。横風がふくとハンドルを取られるので、ほとんど風上に向かって斜めに倒れながら、ハンドルがとられないように押さえ込んで走ります....

 そして、ふつう行きが向かい風だと、帰りは追い風を期待しますが、ここは往きが強い向かい風、折り返したらやっぱり向かい風なんてこともよくあります。

 さらにキツイのが太陽。10月の気温は最高平均が31度、最低平均が22度ですが、コースであるハイウェイでは38度を超えます。

 180kmの行脚のあげく疲れ果ててやっとコナの街にもどります。
以前はバイクフィニッシュ地点はコナの街からさらに10kmほど先、ケアホウにあるコナサーフホテルだったのですが、ホテルが閉鎖になったため、2001年からコナの昔の空港の跡地、オールドエアポートに変更になりました。
 以前はコナの街にもどっても「まだ10kmも」残っていたのですが、今度はすぐにバイク終了となるので精神的には楽になりました。

上は空港の先、Waimeaの三叉路に向かう途中です。
このようにずーーと何もありません。
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こちらは島北端の村Hawi(バイクの折り返し点)に向かう道路。結構アップダウンがあり、さらに風も強く、左手に見えるきれいな海とは裏腹に、じつにキツイところです。
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 さて最後のランニングです。
 まずはオールドエアポートを出発してカイルアの街に入ります。アリイドライブに入り、最初の折り返しであるブラックサンドビーチ(ケアホウ)方向に向かい、途中でUターンします。アリイドライブは応援が多いところです。

 そして折り返し、街を抜けて坂を上がり、ハイウェイに入ります。ここで13km地点くらいでしょうか
 それまでは応援がいっぱいいた街からはずれ、殺風景なハイウェイに戻るのです。このハイウェイをひたすら空港側に向かって走ります。

 空港手前にあるナチュラルエナジーラボ、すなわち地熱発電を行っている発電所の取り付け道路から中に入ります。ここはレース時しか入ることができません。ハイウエイから海岸に向かって下がり、このエナジーラボの一番奥で2度目の折り返しをします。
 この部分は殺風景で、じつにキツイところです。とぼとぼと歩いてしまった人も結構出てきます....

 そしてふたたびハイウェイまで登らなければなりません。
 ハイウエイに入ると残り10マイルくらい。
 少しずつ街が近づいてくることがわかります。
 最後のがんばりどころは Paraniロード手前、すなわち街に入る手前の上り坂。これを登ると、Paraniロードを一気にかけ下り、カイルアのダウンタウンをぐるっとまわりこみます。

 そしてアリイドライブに入ると残り400m。
 フィニッシュが遅いと、それまでは比較的暗い(特にハイウェイは真っ暗)中を走ってくるのですが、突然の光と音が....

 ライトアップされて両側に観客が連なったフィニッシュゲートが待っているのです。


Story5

 プロならば、風などの天候に大きく左右されますが、8〜9時間程度でこの距離を走りきってしまいます。
 
私だとたっぷり10時間以上(トレーニング不足だと当然11時間をゆうに超えるくらい)かかりますが.. ^^;)

 これってすごく速いです。
 例えばコースレコードは1996年、ベルギーのルク・バンリルデが作った8時間04分!
 それぞれのパートを考えると、スイム50分くらい、バイク4時間半くらい、ラン2時間50分くらいでカバーしたことになります。
 単純に考えて、水泳は100mを1分18秒くらいのペースで3900m、バイクは時速40km/hで180kmを、そしてランは5km20分のペースでフルマラソンを、それぞれ連続してこなしたことになります。
 もちろん着替えなどの種目のつなぎの時間もこれに含まれていますし。。
 女性でも後出のポーラが8時間55分台というコースレコードをもっています。

 過去24年の歴史のなかで、アメリカのデイブ・スコットという選手が6回優勝しています。そして同じくマーク・アレンという選手が5年連続も含めて、やっぱり6回優勝しています。
女性ではアメリカのポーラ・ニュービーフレージャーが8度も優勝しています。
 日本人の最高位は宮塚英也選手の10位です。

 ここ数年、男子はマークアレン以来のアメリカ人、ティム・デブームが連勝し、女子ではスイスのナターシャ・バドマンが他をよせつけない強さを誇っています。
 日本人がトップ10にその名を連ねることがふたたびできるでしょうか。

 2003年は25周年大会です。どんなドラマが繰り広げられるのでしょうか。