1997 IRONMAN HAWAII(4th time)
 苦しむのもハワイ

 4度目のハワイ。

 この年は前週より天気が悪い日が多かったようで、レースウイークもコナにしては涼しい気候が続いていた。
 大会前の14日(火)のアイアンマンパレードの開始時刻前にはスコールがあり、通常なら30〜60分程度でやむ雨が1時間半以上も降り続くという珍しい天候だった。

 この年は、はじめてコンドミニアムではなくホテルに宿泊した。
 場所は「キング・カメハメハズ・コナ・ビーチ・ホテル」と長い。日本人には通称「キンカメ」で通っているけど、もちろん現地の人や諸外国人に「キンカメ」などと適当な短縮語(日本人は得意ですなぁ〜)を言ってもわからない。
 KKKHといった方がわかるみたい。

 ここはレースオフィスが置かれ、スタート&フィニッシュ地点であるカイルアピアの目の前にあるホテル。
 すべて徒歩圏にあるので何かと便がよい。
 しかし便がいいだけで、部屋が広いとかきれいというワケでもない。
 たまたま同じチームの人と参加することになったので、同室にしてもらったというだけ......


 レースまでは特に変わったこともなく、普通に過ごす。

 レジストレーションをすませ、カーボパーティで野菜とチキンをたくさん食し、日本人選手説明会に出て、レースギアとバイクチェックインもすませ「さあ、あとは明日一日走るだけ!」と。

 夜寝る前にワインを1杯だけ飲もうと、買ってきたワインを....しまった、冷やすのを忘れていた。

 外気で30度ちかくに暖まっているので、ホテルの同じフロアにある製氷器から氷を3つばかり取ってきてグラスに。
 ワインを飲んでお休みなさい ZZzzz....................... 

 (夜中)ゴロゴロ?ゲロ

 なぜか(きっと)氷が大当たり〜(って、笑い話じゃない)

 今まで飲んだことのある強い下剤を上回る、すばらしく強烈な下剤効果。トイレに閉じこもること2時間。そしてベッドとトイレの往復を十数回。
 症状はいっこうに改善されず仕方なくホテルのロビーに。

 自分:「うー、腹が痛い。下痢している。薬ない?(これくらいは英語で言える)」
 フロントのおっさん:「ここにはない。24時間あいているドラッグストアがあるので、そこに行け。地図書いてやる。歩いて10分くらいだ」

 しかたなくトボトボと夜中1時すぎにドラッグストアに。
 そこで店番のオヤジに話をして、薬を選んでもらい、その場で1つ飲んでホテルに戻る。

 部屋に戻ってもう1錠飲みたして、シーツにくるまってじっとしている。

 そのうち気持ちが悪くなってきて、下からだけでなく上からも(キタナクてごめんね)......

 そうこうしているうちに、30分くらいウトウトできただろうか、目覚ましの音が。

 そう、レースの朝なのだ。


 同室の人にはうるさかったようで迷惑をかけてしまった。

 意識ははっきりしているものの、体に力が入らない。
 下痢と吐き気もなんとか収まったが、すでに胃液まで吐きちらしていて、たぶん胃の中はからっぽ。
 体調は最悪。
 レースの出場を思案する。最初は止めようかと..........

 スタート地点前のホテルに泊まっているので、当日朝の最終登録にむけて選手が並んでいるのが窓の下に見える。
 当日は1500名くらいの選手が登録して、体にレースナンバーをマジックペンで書いてもらったりするので時間がかかるのだ。早く済ませれば、いったんホテルに戻ってゆっくりすることもできる。
 それを見込んで、登録開始前から並んで待っているのだ。

 降りてみて、なんとなく自分もその列に....

 知り合いを見つけ話をする。
 そのなかで、結局走ってみることにした。あまり体調が悪かったらリタイヤすればいいし。
 とりあえず登録を済ませ、自転車のセットアップもする。

 ホテルの部屋に戻って休憩。
 スタート前は、結局何も食べる気もおきず(食べ物を見ると気持ち悪くなる)、ゲータレードをコップ2杯ほど飲んだだけで、薬を飲んでスタート地点に向かう。

右の写真は、あきらめてスタートを待つ....の絵(余裕あるじゃん^^;)


 スイムから戦闘意欲ゼロモード。
 とりあえず体力を消耗しないように、中盤くらいの位置に下がってスタートを待つ。
 午前7時、キャノン砲の音とともに、長〜い一日のはじまりー

 とにかくスイムは力を使わないように、人の後ろにつく。
 自分よりちょっとだけ速そうな人を捜しては、その後ろについて泳ぐ。体力を消費するのでヘッドアップもせず、前の選手を信じて(笑)曲がらないように泳ぐ。

 折り返しの船をまわった頃から、ちょうどよいペースの女性を発見。
 普通は人がばらける後半がキツクなりタイムも落ちるのだが、気分的にはイーブン。
 とにかくムリをせず、気分が悪くならないように、前を信じて(爆)泳ぐのみ。

 そしてピアが近づいてきた。
 ピアの桟橋を上がるときに時計が見えた。1時間9分と悪くない。
 「へ〜、ムリしない方がいいのかな〜」


 ちょっとだけ気をよくしてバイクに。
 いつものようにバイクにまたがり、スタート。
 今年はフレームを赤く塗り替え、ロゴも替えて気分一新。

 スタートして直後のパラニロードを登ってハイウェイに.......... 登れない。
 「げっ」力がぜんぜん入らないのだ。
 やっとの思い出ハイウェイに登り、ハビィ目指して...... しかし!

 スイムの時は気づかなかったが、手と違ってペダルに力が伝えられない。
 どんどんと抜かれる。
 強そうな選手だけでなく、年代上の女性にもガンガン抜かれる。
 ペースはほとんどサイクリング。

 30kmほどの地点のエイドでバナナを受け取り、スポーツドリンクで胃に流し込む。そして5kmほど走るとイキナリ気分が....
 見事なくらい、すべて戻してしまった。

 胃がバナナも受けつけない。

 50km地点あたり。ペースも相変わらずのサイクリング程度。
 もう止めようかと考えた。
 次のエイドで止まって「I'm drop out from the race」と一言いえばいい。
 だけど次のエイドにたどり着くと、ものすごい応援があり、沢山のドリンクやフードが差し出される。
 もうちょっと走ってみようか....
 そして次のエイドまで。

ちゃんと走っているように見えるが

 バイク折り返し地点のハビィに向かう道路はアップダウンが多く、向かい風も強い。
 この年は久しぶりに強いコナウィンドウが吹き、つらい体によけい響く。
 もう一度バナナを食べてみよう...... と食べてみるが、やはり5分ほどしてきれいに(って、きれいじゃないんだけど)吐いてしまった。
 固形物はあきらめ、コーラをチビチビと飲みながら走ることに。
 そうこうしているうちに折り返しにたどり着く。
 ここまで来たのなら、あとは帰るだけなので、あきらめてレースを続けることにする。

 復路も強いコナウィンドウが吹き、ガマンしながらのサイクリングとなる。
 なんとかバイクフィニッシュのコナサーフにたどり着いたとき、時計はレース開始から8時間以上を経過していた。
 よくもバイクに7時間も乗って耐えられたものだ。


 ここまで来たのでリタイヤはやめることにした。
 あとは歩いてでも、ゆっくりとフィニッシュを目指そう。

 ハワイのランは約1マイルごとにエイドがある。
 走り始めて、エイドの手前300mくらいになったら歩き、エイドでドリンクを飲み、少し歩く。そして少しだけ走る。
 この方法だと1km走って600m歩くの繰り返しになる。ほぼ半分近くを歩くことになる。
 これでじゅうぶん。

 8kmほどすると固形物が取れないのでドリンクを多めに取ったせいか、お腹の調子が悪くなってくる。
 結局エイドにある仮設トイレを巡る旅になってしまった。

 ハイウエィに上がってもムリをせずに歩き走り。
 ナチュラル・エナジーラボに降りる道で、正面に夕日が沈んだ。いつもならフィニッシュラインにいる時間。
 夕日を見ながらトボトボと歩く。エナジーラボの折り返し付近からは日が沈んで暗くなってきた。

 ハイウエィに上がるとスティックライトを着けられ、ハイウエィをコナの街に向かう。しかし足下が真っ暗だと、とっても走りづらい。
 満月が足下を照らしてくれるというハワイの開催日の由来を考えてみるが、とてもマトモに走れるものではない。

 とにかくムリをせず、歩き・走り続ける。

 真っ暗な闇の向こうに少しずつ明かりが見えてくる。明かりが近づき、街であることがわかる。
 街路灯があり、店のネオンが光る。
 ようやくカイルアの街に戻った。
 パラニロードから先は応援者が多いので、ゆっくりだが歩かずに走ることにした。

 そして照明のまぶしいフィニッシュラインに。
 半分歩いたランは5時間近くを要していた。
 なんとか12時間51分でフィニッシュラインをまたぐことができた。

今はなき「地球の旅」でのツアー
4年間ほんとうにお世話になりました